なりきれない女の雑記

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現実と虚構に溺れる毎日。

『やまとなでしこ』が私のバイブルである理由

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先日、12年ぶりに「やまとなでしこ」の特別編集版がテレビで再放送された。ドラマ自体は2000年の作品なので、もう20年前の作品だ。それから毎年再放送されていたのに、2009年に●塩●の不祥事のせいでお蔵入りになってしまっていたのだ。今回、胸をときめかせて観入ったアラサー・アラフォー世代の人も多いのではないだろうか。私も久しぶりに観て、「ああやっぱりこの作品大好きだなぁ」と改めて思った。もちろん、幼い頃に好きだと思ったものや信じたものは、大人になっても好きという気持ちが継続しがちで贔屓目になりがちだとは思うのだが、それを差し引いてもやっぱり好きな作品だ。

なんでこの作品にこんなに惹かれるんだろうなぁ、と考えてみると、やっぱり桜子さんのキャラクターとそれを演じる松嶋菜々子の魅力に尽きる。自分の美しさを自覚し、言葉巧みに男性の心をくすぐって懐に入り、「玉の輿」という自分の野望のためにとことん貪欲に生きてきたのだ。でもそれにはちゃんとした彼女なりの理由があり、自分で決めたルールを一貫して守り抜いているのも、観ていて清々しい。東十条司という大型安心物件をキープしつつ、ハイスペック男性との合コンを重ね、自分を幸せにしてくれる王子様を探し続ける体力と精神力には、一種のスポコン漫画なみの青春を感じる。きっと私がもし友達だったら、セコンド的なポジションで「よし、行け桜子、良いジャブかませよー、いいぞー」なんて観戦モードで楽しめると思う。

私は正直に言うと、女は女の武器を最大限使って生き抜くべきと思う派である。昨今じゃフェミニズム活動が盛んで、男女平等だの、女性差別だの、すぐ問題が大きくなってしまう。もちろん、私も女性なので、外見・年齢・性別を理由とした身体的・心理的ハラスメントや差別などは論外だと思っている。でも、男女は平等になれないとも思っている。体力的にも差はあるし、身体や脳の構造も圧倒的に違う。男性ができる量を女性が同じくできるとも思えないし、逆を言うと、女性ができることが男性も同じくできるとは言えないからだ。だからこそ、同じ女性として、男性をうまく操りながら、しなやかに強かに生きている姿に少し憧れを覚えるのだ。(このキャラクターが顕著なのが、『働きマン』の野川由実)

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そのような、私が少し憧れる女性の生き方と通ずるものが桜子にはある気がするのだ。『やまとなでしこ』が大ヒットした2000年頃はまだ、女性は家庭に入るものというのが一般的で、世の中は今よりもっと男尊女卑色が強かっただろう。もちろんそんな世の中で、男性と同様の武器を持ち、男性と同じ戦い方で戦い、ジャンヌダルクのように先陣を切っていく女性もいただろうし、それはそれでかっこよかったと思う。けど、桜子のように女性という武器を使い、欲しいものに向かって突き進んでいくというのも一つの生き方で、ある意味清々しい。桜子は欧介と出会うまでは「お金がすべて」だったので少し歪んでいたのだけど、幼い頃の悲しい思い出を払拭し「幸せになる」という夢を叶えたいという思いの前で、誰よりもピュアで芯が通ってたのだ。だから、桜子が歪んだ考えを持っていたとはいえ、悪女として切り捨てられない、嫌いにはなりきれない女性として見事に描かれていた。

しかし、このままお金大好き・男は経済力がナンボのまま進んでいったら、ドラマとしては成り立たないし、嫌われキャラになっていただろう。このドラマが最大のヒットとなった要因は、桜子のキャラや品の良さ・ファッション性もあるけど、「幸せ」という元々追い求めていたものを、与えられるのではなく、ちゃんと自ら選んで掴み取るというところだと思う。最終的に桜子は自分の心の細部まで向き合い、自分の幸せは「お金」ではなく「愛」が必要だったと気づき、欧介という貧乏で将来性が未知数な男性を自ら選ぶ。追い払っていたものを自分から追いかけるのだ。桜子が追いかけるというラストが本当にいじらしくて、アメリカで桜子と欧介が再会するシーンはドラマ史に残る名シーンだと思う。私が大人になったからかもしれないが、最近はここまで気分が高揚するラブストーリーがなくて、少し物足りない。もう一回、月9で王道ラブストーリーやってみませんか、フジテレビさーん!!でも、『やまとなでしこ』を現代版としてリバイバルするのは無しでお願いしたい。この桜子というキャラは品のある美しさを持つ松嶋菜々子さんだからこそ、より鮮明にカリスマ性が際立ったわけで、他の誰かが彼女を演じても、私があの頃に感じた魅力は感じられないだろう。

だんだん何言ってんのかわからなくなってきたのでそろそろ締めたいのだが、とにかく神野桜子はいつまでも私が憧れる唯一無二の名キャラクターで、『やまとなでしこ』という作品はバイブルとして私の心にこれからも残り続けていく。そして、MISIAの「Everything」は私のカラオケの十八番として歌い続けると思うので、友人達にはこれからも毎回歌ってしまうことを先に謝っておくことにする。

「私が悪うございました。でも私は悪くなーい。」