なりきれない女の雑記

なりきれない女の雑記

現実と虚構に溺れる毎日。

『獣になれない私たち』晶と呉羽と男たち

どうしたら男と女はわかりあえるんだろう。わかりあえることを期待する方がばかばかしい。所詮他人とはわかりあえない。共感しても何も正解は出ないし、問題は解決しない。ただただ前に進むしかないのだ。そんなことをぼんやりと考えさせられながら、夫と「けもなれ」第6話を鑑賞していた。※以下文字起こし・ネタバレ含みますのでご注意ください。

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鐘?金?誰だよ、カイジ

今回は呉羽の夫である「橘カイジ」がどんな人物なのかということがフォーカスされ、カイジに対する恒星の嫉妬が浮き彫りになる回だった。呉羽の前では晶を呼び捨てし、あたかも深い関係であるようにふるまう姿に、晶同様私もニヤニヤ。カイジと呉羽が偽装結婚だという噂を知ると、顧問の税理士であることを理由に呉羽の会社を訪れ、内情を探ろうとする。呉羽の事となるとフットワーク軽いねぇ。

結果、呉羽は以前のモデル事務所から契約問題で訴えられており、1000万円の損害賠償を求められていたことがわかる。カイジと呉羽の結婚は「鐘」ではなくて「金」だったのか?という疑惑の目が深まるばかりだったが、確証はなく、憶測で話は進んでいくのだった。

女は男の夢?松任谷VS筧

一方で晶は、仕事の会合で京谷と会うことに。京谷が務める大手デベロッパー・樫村地所のECサイトを、晶が務めるツクモクリエイトジャパンが作ることになったのだ。その宴席で、京谷の部下である筧(吉村界人)は酔っぱらって、筧は晶と京谷の関係を、晶の同僚の松任谷(伊藤沙莉)と上野(犬飼貴史)に暴露してしまう。そもそもこの筧というやつは、京谷が口にした言葉の矛盾や言動の違和感をすかさず指摘し、晶との関係などのプライベートな部分にもぐいぐい踏み込んでくる空気の読めない、いやあえて読まない男で油断ならない爆弾のような奴なのだ。人前でキスする女は嫌だ、携帯の待ち受けを恋人にする女は嫌だ、女はすぐ浮気するという完全に女を見下した発言に、とうとう松任谷がキレるシーンは私の心の中で拍手喝采だった。

松任「だいたいさ、どうして女の浮気はだらしないとか言われて、男の浮気は甲斐性みたいに言われるの?」

「男は女に夢を見たいんですよ。」

松任「女の夢はどうなんの?見せてみなさいよー!」

仕事にもやる気がなく、完全ぬるま湯女で他人の事に興味なさそうな松任谷が、非常にまっとうな人間だと気づかせてくれた瞬間。そもそも、晶の異変に彼女だけが気づいてた。常にベクトルは「自分がいかに幸せに過ごせるか」に向いていて、その分心に余裕があって、愛し愛される喜びを知ってるから素直な良い子なのだ。環境が違ったらものすごく仕事出来る子だったかもしれない。笑笑

そんなことに感心してると、暴君・九十九と京谷の上司・橋爪が合流する。乱れた場を取りまとめられてないと晶に怒鳴る九十九を先輩である橋爪が一喝。スカッとジャパンかと思った。気持ちよかったー!笑笑(でも橋爪のような先輩が将来の暴君を生んだ可能性もある)

京谷との温度差 

晶は京谷と2人になったところで、恒星とのキスのことを切り出す。京谷は自分が見ているのを知ってて恒星にキスをした晶を責め立てる。しかし、晶も応戦。朱里との関係を清算できないことや、呉羽との一夜など痛いところを突いてくる晶に「俺の気持ちはわからない」、挙げ句の果てに「今の晶は可愛くない」と言い放つ。思わずテレビの前で「はぁ?」と言ってしまった。ナニイッテンノコイツ・・・。いいか、中の人が田中圭じゃなかったら、全女性が総力を挙げてつぶしにかかるほどのセリフだよ。女は男に可愛いと思われるために生きてんじゃないんだよ。子宮の中から出直してこい。松任谷も宴席で筧に怒りをあらわにしていたけど、「女性は常に清らかで穢れがあってはいけない」という偏見から来る女性側への非難(=スラット・シェイミングというらしい)について、こうしてセリフの端々で織り交ぜて、見る側に認識させてくれる野木さんの脚本力にただただ感服させられる。とにかく京谷も筧も子宮から出直してこい笑。 京谷に呆れ、晶はその場を後にし、呉羽のお店へ向かう。そして呉羽に感情を爆発させる。

「呉羽さんのせいだから!呉羽さんと京谷がそうなっちゃったから私もバカなことして、でも結局してないし、あぁキスはしたけど、でもその・・してもないのにイーブンか私の方が悪いみたいな感じで・・・なんで?全然納得いかなくて。でも言う相手もいなくて、でもよくよく考えたら呉羽さんが発端だから。呉羽さんだけが悪いんじゃないけど、誘いにのっちゃった京谷が悪いんだけど。でもそうなっちゃったのは私が京谷を責めたからで。私が今日は帰ってとか言っちゃったからで。でもそれは京谷が・・・こんなこと言っても何にもならないのに・・・」

呉羽「・・・疲れちゃうね。疲れちゃうよ・・・。」

「私許してませんよ、呉羽さんのこと。」

呉羽「うん。抱きしめたくなったから抱きしめてるだけ。」

なんでこう晶は結局自分を責めちゃうかな。私も呉羽を押しのけて抱きしめてあげたい。結局晶は孤独で、誰にも感情をぶつけられない。DV父と依存症の母の間でまともな愛を受けず、甘えられずに育った環境もあるのだろう。愛されるために心をつぶしてきた晶の闇は、両親からまっとうに愛され育った純粋培養の京谷には想像もできない闇だ。そんな晶を呉羽は抱きしめる。母性から来てるのか。ただの同情なのか。私には前者に見えた。私には第1話からとても呉羽が常識はずれのアウトローな野獣には見えない。ただただ弱いものを温かく包む母性ある女性に見えた。

呉羽の告白

恒星との別れとカイジとの結婚についても、呉羽の女としての部分が強調されていた。カイジとの結婚は金がらみでもなんでもなかったし、恒星よりカイジを選んだことも呉羽にとっては当然の結果だったのだ。子宮を全摘したことで子どもを授かることが難しくなった女としての苦しみが痛いほど伝わると同時に、好きな人にこの苦しみを伝えられない辛さがセリフに詰まっていた。

呉羽「あたしさぁ、ちょっと前に手術したんだよね。子宮全摘。全部取っちゃったの、卵巣は残ってるけど。筋腫が大きくなって温存できなくなって腹腔鏡手術でして。予後は良好、生活に支障なし。自分次第で何でも手に入ると思ってたけど、この先どんなに願っても手に入らないものができた。恒星には話せなかったんだよね。恒星はきっとその話を聞いたらこう言うんだよ『子どもが作れないからなんなの。そんなの大したことじゃないだろ。』って。でも、あたしにとっては大したことだったの。恒星とは都合の良い関係で、お互いに都合がよくって、楽しい時間だけを共有してた。それはそれで楽しかったし、何にも起こらなければ今も続いてたかもしれない。でも思っちゃったんだよね。あたしにとって大したこと、大事なことを離せないってどんなに体重ねても話せないのって、なんか・・・寂しいじゃん。・・・ね?」

 (呉羽と晶の会話を聞き、黙って立ち去った恒星。それを追いかけた晶)

「呉羽さんのことわかってなかったね。」

恒星「分かってるも何も知らないことだらけだよ。あいつも俺の事わかっちゃいなかったけどな。きっと恒星ならこういう事言うって想像で勝手に人の事決めんなよ。」

「じゃあなんて言った?聞かされてたら。」

恒星「『べつにそんなの大したことじゃねーし。子供ができないからなんなんだ』ってそう言う。呉羽の想像通り。だってそうだろ?呉羽は呉羽なんだから。じゃ二人で一緒になって悲しめばいいの?優しく話聞いて慰めんの?そんな男を俺に求められても、ないものはないし。」

たった1~2分のカットとセリフで、呉羽の人となりを「強くて野生的で奔放な女」から「女性として弱さも含んだ共感できる女」に変えたのだ。この展開が驚きで、恒星と別れを選んだ理由もとても納得できた。そして一方で、恒星の言い分も非常に思い当たる節がある。そう、私自身夫に言われたことがある。悲しいことがあり夫に話しても今一つスッキリしないと言うと「じゃあ一緒に悲しめばいいの?」と返されたことがあった。「結構大したことだってわかってほしいんだよ」って言うと、「わかってもらえたらそれで解決する?前に進まなくない?」と返される。もし呉羽だったら、寂しくなってそれ以上話すのをやめてしまい、ただ寄り添い抱きしめてくれる他の男性に満たされるのかもしれない。私はそれが男女の考え方の違いなんだと飲み込むことで何とか納得してきたけど、この呉羽のセリフで「ああ私も寂しかったんだな」と改めて感じた。それで冒頭の虚無に満ちた感情がぼんやりと浮かんだのだ。そのわかりあえない夫が隣にいながら。笑

晶・京谷・恒星・呉羽がそれぞれ本音をぶつけ始めた中、朱里はまた不可解な動きをし始める。とりあえず、前科一犯になることだけは避けて笑。(個人情報漁って晶の荷物受け取ってるあたりアウトですけど)そして、恒星の怪しいお金の行く末も気になるところでまた来週。引っ張るねー、引っ張りまくるよ野木先生。

 

人はわかりあえない。ましてや男と女なんてもっとわかりあえない。しかもこのドラマに出てくる登場人物はみんな不完全で極端だ。でも、わかりあえないから一緒にいることをやめるのか?わかりあえる関係だけが心地いいのか?そうじゃないと私は思う。わかりあえなくて、色々こんがらがって面白いから「人間」なんだ。だからこんなドラマが生まれるんだと思う。一度野木さんの目になって世界を覗いたら、こんなに一生懸命「生きてる」人たちの姿がもどかしく喜劇的に見えるんだろう。けもなれは紛れもなくラブかもしれないコメディなんだと思う。

うん、何言ってるかよくわかんなくなってきたのでこのへんでやめとこう。

 

隣の芝生が青く見え過ぎた時は

隣の芝生は青く見える病。これ、よくある。

ふと、Twitterを開くとタイムラインに見たことがある顔がアイコンとなっているツイートがあった。超有名コピーライターさんがその人のツイートをリツイートしていたのだ。別に見なくてもいいのに、その人のアカウントを見てしまった。非常に後悔している。見なきゃよかった。心の中のブラックスワンがぶゎぁさっ!と羽を広げてしまった。

かつてその人は陰で私のことを「顔面偏差値低い」と言っていたことがあった。(あ、高校生の頃だよ。)私とは特に仲悪いわけでもなかった。むしろよく知らないくせに、そういうことを他人にサラッと言う女なんだな、という印象の同級生だった。なぜか社会人になってすぐ、会ってお茶したいと言われて家にも行ったことがあるのだけど、結局それっきりだった。なんで会うことになったのか未だによくわからない。ちなみにお茶している時に「前に私の事ディスってたよね?笑」って聞いたら、「やだー!○○(私)さんのことじゃないよぉー、同じ苗字の○○さん(私の友達)のことだよぉー」って言ってくる女。どちらにしても怖い怖い。

その人は、しばらくしてブログがバズり、今はライターとして活躍しているようだ。あまり詳しく書くとバレてしまうので内容は控えるけども、女子向けにも音楽好き向けにも幅広く記事を執筆しているみたい。友達でもなんでもないけど、なんとなくモヤっとしてしまった。ええ、嫉妬ですね。もうどうでもいいはずなのに。嫌いな女(言っちゃったよ)が自分がやりたかった仕事をやってると知った夜の切ないことよ。そんでもって彼女が書いた記事読んだら、まー面白いわけだよ。まー素直にズズズーンって凹んだよ。軽くマントル超えてブラジルよこんばんは。

この差はなんなのか!?って考えたら、差は歴然。その人はいろんな仕事をしながらも好きなものに一直線だったのだ。あるアーティストが好きだったら、熱狂的に追いかけてたのだ。興味がある!と思ったら、めちゃくちゃ掘り下げられる人だったのだ。それをせっせとブログに書いて発信し続けていたのである。私ときたら、せっかく出版社に潜り込めた「リアル・プラダを着た悪魔アンドレア」だったのに、家庭の事情やら何やらでしがみつけずにチャンスを掴めないまま逃げてしまった。今はIT関係であの頃の私が想像もしなかった仕事をしている。人生は勝ち負けではないけど、完全に完全に負け。あ、だめだ・・・黒い沼に落ちて行く・・・。

 

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そんなこんなで昨日の夜はもやっと心がざわついて、久しぶりに眠れなかった。他人の芝生が青く見え過ぎる時ってありませんかね?生理前とか。疲れてるんですよね。だから余計キラキラしている人が眩しい。そして、自分の中のパンドラの箱を開けてしまってモヤっとする。大丈夫、大丈夫。世の中あなたの好きなもので溢れている。ちょいと深呼吸して、いろいろ自分の好きなもの・好きだったことを確かめてみようよ。

心が真っ黒なジェラサーになりそうな時の私の処方箋の一例。

安野モヨコの本を読む

中学生のころからめっちゃ好きなお方。漫画も大好きなんだが、特に20年近く前に出版された『美人画報』という昔VOCEで連載していたコラムを書籍化したやつをずっと大事にしている。今でも時折読み返す心のバイブル。まるで宝石箱のような安野モヨコ先生の絵の美しさにうっとりし、痛快な語り口で綴られるアラサー時代の先生の悲喜こもごもを読むと、元気が出る気がする。 出ている情報はもう古いんだけど、精神は色褪せない。好きだったものをもう一度好きだと思う瞬間、かなり大事。

美人画報

美人画報

 
美人画報 ハイパー

美人画報 ハイパー

 
美人画報 ワンダー

美人画報 ワンダー

 

◆ひたすら好きな雑誌を読む

CREAFRaU、ananなどのワンテーマの雑誌が大好き。好きなテーマや好きな俳優さんが出ているものは保存している。こちらも好きなものを確かめる行為。これらの雑誌は写真も美しいから見ているだけで癒される。嫌な気持ちを忘れて読みふけってしまおう。特に、年末が近づいている今、手土産特集が組まれるから色々な品物に巡り合えて楽しい。ちょっとおしゃれして、誰かに会いに行きたくなるのでおすすめ。

CREA 12月号 (贈りものバイブル。)

CREA 12月号 (贈りものバイブル。)

 
anan(アンアン) 2018/11/07 No.2125 [手みやげベスト2018/田中 圭]

anan(アンアン) 2018/11/07 No.2125 [手みやげベスト2018/田中 圭]

 

Youtubeを見る

①America's got Talent

今更だけど最近ハマっている。おすすめに上がってきたので見てみたらすごく感動してしまった。とにかく2018年のコートニー・ハドウィンは最高。シャイで内向的な彼女が、曲がかかると別人のように歌い踊る姿にただただ驚いた。13歳とは思えない素晴らしいパフォーマンスだった。ただの一般人が評価されて煌びやかな祝福を受けるのを観るのは清々しい。惜しくも彼女は決勝で敗退してしまったけど、ゴールデンブザーの瞬間がとても感動的で何度も観てしまう。


Courtney Hadwin: 13-Year-Old Golden Buzzer Winning Performance - America's Got Talent 2018

ゴールデンレトリバーと変態飼い主さん

可愛い。猫派だったけど、これ見てると犬飼いたくなる。


今から幸せになります I can be happy !

③茶トラ子猫ひろしの成長日記

3年前からあるチャンネルを今更知った。と言うのも茶トラで検索すると一番最初にでてくるから。悶絶するほど可愛い。茶トラ猫飼いたい・・・。


茶トラ子猫拾った翌朝 ベッドの下から恐る恐る可愛い↑↑ / Sleepy cat Hiroshi: Grumpy morning

④パンダ関連

無類のパンダ好きの私。パンダ観てるだけで幸せになれる。上野のシャンシャンは本当に可愛い。母シンシンとのじゃれ合いが見られなくなるの寂しいな。


パンダのシャンシャン、誕生から1歳までの記録


シャンシャン508日齢(4)2018年11月2日撮影

 

あれ?好きなものを考えながら書いてたら、いつの間にかモヤモヤ消えてるぞ。成功した相手と自分を比べたりするのバカバカしいね。そりゃ名声や好きなものでお金は欲しいけど。また一歩一歩、楽しいこと考えながら頑張ろう。

『獣になれない私たち』一寸先は長門朱里

先日の第5話はとにかくしんどかった。京谷(田中圭)の家に4年も暮らし続ける元カノ・朱里(黒木華)と向き合うため、1人でマンションに会いに行った晶(新垣結衣)。晶は冷静に「ここを出て行くつもり本当にありますか?」と問いかけるも、朱里ははぐらかす。生活のために居続けようとする話しぶりを聞いて晶は「京谷のこと好きだからじゃないの?」と聞く。すると朱里の怒りと途方もない虚しさが言葉となって晶に矢のごとく降り注ぐ。

朱里「京ちゃんはあなたと付き合うから、だから別れてくれって私に言ったの。どうして?なんで私の方だけ京ちゃんの事好きで居続けないといけないの?あぁ自分の彼氏はモテる人だって思いたいんだ?それでも私の方を選んでくれたーって。幸せだね。幸せでキラキラしている人は違うねー。ふーん、ウサギの餌まで買ってきて。自慢?お前とは違うんだって言いたいの?いつまでも無職で何にもしてない私とはそりゃ違うよねぇ。」

「私だってラクして楽しく働いているわけじゃ・・・」

朱里「はぁ?何贅沢言ってんの?仕事があって、仕事ができて、好きな人に好きって言ってもらえて、お義母さんにも気に入られて、なんでもあるじゃん。私なんて4年間ずっとここで、こんなスウェット着て、派遣会社行ってもお前に紹介する仕事無いって言われて、京ちゃんにも…。京ちゃんにもお前と晶は違うって言われて。話し相手はゲームとウサギだけ。私ウサギを飼ってもいけないの?なんにもないのに。あなたが持ってるいろんなもの私何にも持ってない!あなたみたいな人大っ嫌い。」

「・・・私はあなたが羨ましい。そんな風に泣けて。」

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いやー、ここ最近で一番観ていてしんどかったかも。だって数年前の私ですやん、朱里ちゃんって。いや、今でも心の中に朱里はいる。だから全然嫌いになれない。むしろ抱きしめてあげたい。

私自身も職場でいじめにあったり、転職先がブラック企業で追い詰められたりが続いて心身ともにボロボロになり、かつ親のことで問題抱えてたりで本気で「生まれてこなければよかった」と自尊心が低くなっていた頃、友人とかが「仕事つらいわー」とか「彼氏とうまくいかないわー」って言うと、心の中で「いやそのくらいで辛い辛い言うなよ、私の方がもっと辛いわ。てゆか君、私より給料いいし。親も余裕あって楽しそうじゃん。」って思っていたし態度に出てたよ。ごめん、その頃の友人たち。でもね、誰しも朱里のような自分を抱えてると思うのだよ。私がしんどい頃、同じようにしんどかった友人たち。辛いという感じ方は人それぞれ違えど、朱里のように自尊心が低くなって、相手を攻撃して自分を可哀そうがることでしか誰にも自分を守ってもらえないような状態って誰でもなり得るんだよ。

この晶だって、朱里のようにはっきりは言えなくても、同じような状態。そして同じく朱里のような存在が大嫌いだと思う。お互いがコンプレックスの化身なんだ。この二人は相反するようで、実は鏡のような存在なんだよね。本心が欲している自分。でもお互いに表面しか見えていない。朱里はキラキラしている人がどれだけ努力をして今の地位にいるか、どれだけ我慢をして傷だらけになって立ち続けているかが見えていない。本当は朱里にも晶の傷が見えているけど、結果的に今の私より多く持ってて幸せそうだから敵。だから攻撃する。しかしその言葉はブーメランで、言えば言うほど朱里自身を傷つけてるんだけどね。本人は気づく余裕がない。晶は晶で、自分を守るために人に甘えて図々しく、感情的になれる朱里が羨ましい。そんな2人の話が通じ合うわけがないから堂々巡り。観ていてこっちもしんどいこと極まりなし。

仕事もプライベートも堂々巡りな晶。疲れ切って、とうとう心がショートし、脳がぶっ壊れ始める。民謡「幸せなら手を叩こう」を鼻歌で歌いながら、スタンプのように張り付いた笑顔を湛えて、前以上に淡々とハイスピードで仕事を片付けていく。その間ずっと「幸せなら手をたたこう♪」のメロディが流れ、サブリミナル効果のように「パンッパンッ」と手拍子する映像が挟まれ、より一層恐怖感をあおる。

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自分は幸せだ、幸せだ・・と思いこませようとする晶。沢山登録されている連絡先を眺めても、この辛さを吐き出せる人はいない。考えることをやめて、笑顔で何もなかったように静かに自分を殺していく。高層ビルの階段に登る晶が本当に切なくて苦しかった。今死んでもきっと周りは「あんなに笑顔で生き生きと仕事していた深海さんがどうして」ってほざくんだろう。誰も気づかない、理解しようとしない、それも一種の暴力だ。そう思った。

こんなに2人をここまで追い詰めたのは、紛れもなく京谷だ。もちろん、自分で自分の首を絞めている彼女たちの性格も問題があるのだけど、彼女たちを翻弄し苦しめているのは京谷の方向違いの優しさなのだ。朱里がオーバードーズした時も、晶が愛されてないと言った時も、自分のせいでこうなるのが嫌だという保身が一番最初に来る。他人に優しさを向けているようで、全て自分に向けた優しさなのだ。自分が可愛くて、結局流されるままに甘えられるところに逃げ込んでしまう。自分じゃ晶を幸せにできないから代わりに幸せにして欲しいみたいなことを恒星に言っちゃうし、最後で晶が恒星にキスしてるのを見てしまうと、踵を返してその場を去ってしまう。弱い、弱すぎる。千春さん、貴方の息子は優しいですが何も学んでいません。福井の小浜の海で、いつか千春さんを迎えに来た京谷の父の強さを、どうか京谷にも分け与えてください。

 

余談なんですけど、ラストの晶と恒星のキスを見た呉羽の目が睨んでるような怖い顔に見えたのは私だけ?次回予告に「呉羽と橘カイジとの結婚が実は偽装」とか聞こえた気がして、実は呉羽はバイセクシャルで晶を狙ってたらまためちゃくちゃだな・・・なんてくだらない妄想をしてしまった。とにかく晶の笑顔が見たい。見せて、野木さん!





ウマーベラス!な火鍋でパーリーナイッッ

鍋が美味しい季節になってきた。昨日は約20年弱も付き合いのある親友M*1と数ヶ月ぶりに夕飯を食べた。定時に職場を出て銀座の街を小走りで駆け抜ける。雨が降ってる中、何故そんなに急ぐのか。数ヶ月ぶりの友人との再会が楽しみだから…それもあるけど、違う。今日の夕飯は「火鍋」だからだ!!単調で退屈な日々の中、身体中があの痺れる辛さの刺激的なスープを欲していた。「火鍋食いたいっっ」心が叫んでたんだ!!!

 

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私が火鍋と出会ったのは2~3年前、Mが連れて行ってくれた「天香回味(テンシャンフェイウェイ)*2だった。ちなみに火鍋とは、陰陽のマークをかたどったような仕切りのある鍋の一方に豚や鶏ガラをじっくり煮込んだ白湯スープ、もう一方に唐辛子・花山椒の効いた赤い麻辣スープが入っており、そこに野菜やキノコやお肉を煮込んで食べる中国の鍋料理だ。鍋が仕切ってあり2種類のスープがあるものと、赤い麻辣スープのみのものもあり、火鍋といっても店によって様々だ。ここは2種類式。私はここで火鍋バージンから卒業し、Mと会う時はしょっちゅう通っている。

「天香回味」の火鍋はなんといってもスープが美味しい。白湯(回味)スープの方は野菜や肉類の出汁がしっかり出ていて、こくがありつつすっきりしている。麻辣(天香)スープの方は、沢山の香辛料が複雑に絡み合い、体中がこのスープの香りを放ってしまうのではと思うほど香り高く、一口で人を恍惚とさせる魔力がある。決して辛くて刺々しく火を噴きたくなるようなものではなく、飲むと体がポカポカじんわりと温かくなるような辛さ。棗や高麗人参、クコの実を含む数種類の漢方植物の深い味わいがやみつきになるのだ。そこに野菜やキノコをこれでもかと投入する。山伏茸、タモギ茸、アワビ茸、霊芝茸、アガリクス茸、花びら茸・・・スーパーじゃなかなかお目に罹れないキノコたちがスープの中で踊る。シコシコキュッキュッとした背徳的で楽しい触感とスープの旨味でいくらでも食べられてしまう。途中で、すっかり脇役と化したお肉をしゃぶしゃぶし、おでこに光る汗を拭き、キノコを追加注文し、締めに中華麺(ここは翡翠麺)を投入。チュルチュルしたコシある麺にたくさんの具材の旨味が詰まったスープが浸みて、また泣きそうなほど美味しいのだ。美味しすぎてもう1ラウンド行けそうな気がしてくるけど、キノコがおなかで膨れ、だいぶ破裂寸前だからやめとけ。えも言わぬ多幸感とスープの残り香とともににこやかに終電に乗るのだ。

 

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そんな一連がMとの火鍋パーリーナイトのお決まりのパターンだった。さんざん「天香回味」の火鍋について熱く語ったが、昨日行ったお店は実は違うところ。火曜日にも関わらず銀座界隈の店舗がすべて満席だったのだ。ショックを受けつつも、お互いもう火鍋の事しか頭になく(一度食べると決まると脳と口の中がそれ以外受け付けない火鍋の魔力)、Mが代わりの店を猛烈に検索してくれて、火鍋難民の私たちがたどりついたのは銀座コリドー街の「天丹(テンタン)」

とりあえず飲み物と前菜でお腹の準備運動をし、ぐつぐつしてきた鍋に野菜を投入、たれ(店員さんが好みを効いて作ってくれる)の器を手に、いざスタート。辛うま!山椒の香りが鼻を突きぬけ、舌がピリピリ痺れる。でも後味爽やかで「どんとこい、受けて立つよ」と俄然スイッチが入る辛さ。ここは辛さを選べるのだけど、真ん中でこんな感じ。(※感じ方には個人差があります)アドレナリンに火が付き、Mとくっちゃべりながら、どんどん口に運ぶとすぐ具材がなくなったので追加。ここは肉の量が結構あるので、がっつり食べたい人や男性にはいいと思う。ただ、キノコはスーパーで売っているようなものだけなのでキノコ愛深めの私たちには少々物足りなかった。セットの野菜もちょっと少ない。でも締めに寒天麺を頼んだのだけど、これが大当たり。くずきりのようなくにゅくにゅもちもち歯ごたえのある太めの寒天がスープと最高に合う。

若干日本語が得意でない店員さんでかみ合わないところあるけど、まめにスープを足してくれるし、デザートをサービスしてくれたし、前菜美味しかったし、結果とてもよかった。北京ダックとかもあるようなので、次回は普通にアラカルトで単品料理も食べてみたい。しかしながら、他の男性を知って今の男性の良さを知るように、初恋が一番美しく見えるのと同じで、やはり私たちにとっては「天香回味」が最も好きだということが分かったので、次回またリベンジしようと固く誓ったのであった。

 

薬膳火鍋専門店 天香回味[テンシャンフェイウェイ]

銀座 元祖薬膳火鍋 中華料理 個室あり | 天丹 銀座本店

 

最後に、最近ハマっている「ウマーベラス」の動画。サンドウィッチマンかわいい。火鍋は沢山食べてもどうせ翌日モリモリ出るから、ゼロカロリー♪♪笑


MONKEY MAJIK × サンドウィッチマン / ウマーベラス(歌詞付き)

*1:中高の女子校時代に出会った親友であり悪友。学生時代は同じ男に惚れ、教室のカーテンの中で泣き合ったことも。いまや超エリートのキャリアウーマンで見た目も美しいのに中身は愛すべきオッサン。このブログにもたびたび登場すると思う。

*2:回し者じゃないよ。ただ好きなだけ。

『僕らは奇跡でできている』に癒される火曜

『大恋愛』『獣になれない私たち』に続いて、この秋楽しみに観ているドラマがある。『僕らは奇跡でできている』。今期も正直フジテレビには期待していなかったけど、こちらは丁寧に作られた良作。それもそのはず。脚本は「僕の生きる道」シリーズを書かれた、ヒューマンドラマを得意とされる橋部敦子さん。先述のドラマ2つで心をギュインギュイン揺さぶられるので、火曜日は高橋一生に穏やかに癒されよう。

 

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動物行動学を研究している大学講師・相河一輝(高橋一生)。物事や行動に対して「こだわり」をもち、興味を持ったことには一直線で、周りのことはおかまいなしのトラブルメーカー。まるで、カルテットの家森諭高をより純粋に子どもにしたような性格で、これは高橋一生じゃなきゃ演じられないと思わせるほどぴったりな役柄。ドラマでははっきりとは言わないけれど、たぶん発達障害と思わせるような描写がある(一つの興味ある物事に執着しすぎるあまり、周りの状況把握や対応ができないところとか)。様々起こる騒動の中で彼が発する言葉の端々に、一生懸命好きなこと向かって真剣に生きてきた人間性が垣間見える。彼のとめどない好奇心や突拍子もない行動に、学生たちや一輝が通う歯科の院長・水本育美(榮倉奈々)など周りは振り回されるのだけれど、正しいと思い込んでいる常識は実は大したことじゃないかもしれない、と凝り固まった脳みそを少し柔らかくしてくれる。「大人としてこーあるべきとか、空気が読める読めないとか“そんなこたどーでもいい”」と思わせてくれるハートフルなドラマだ。

 

特に、歯科医院で知り合った小学生の虹一(川口和空)とのやりとりは秀逸。虹一は一輝の子供のころそのままで、興味があることが他にあると、今やるべきことへの集中が散漫になってしまう。そんな虹一に対し母・涼子(松本若菜)は「なぜ他の子のようにできないのか」と抑圧的に接する。母の目を気にして好奇心を抑えて生活する虹一を、一輝は「謎を見つけるぞ!」と森や動物園へ冒険に連れ出す。第3話ではその一輝の行動は騒ぎにもなるが、周りの迷惑や心配をよそに「一輝くん!○○を見つけたぞ!こんなことあったぞ!」とキラキラした顔で夢中になってに話す虹一を、一輝は同じく笑顔で温かく迎えるのだ。まるで同じ年の友達同士のようなその二人の姿が眩しくて、気が付くと目頭が熱くなった。

この物騒で世知辛い昨今、知らない人に犯罪に巻き込まれるリスクももちろんあるから一輝の行動は一概には良いと言えなくとも、子どもの「あれってなんだろう」「こんなの見つけた」という好奇心に満ちた話を聴いてくれるような、一つの個性として自然に接してくれる大人が身近に一人でもいると、子どもたちの可能性って無限大なんだよなって思う。それは親でも学校の先生でもいいし、ご近所のおじちゃん・おばちゃんでもいい。普段忙しくて、子どもの話に構っている暇はあまりないのかもしれないけど、心の余裕やモノの見方について問いかけられている気がする。(もちろん子どもの発達において、無視できない脳の異変もあるけれどさ。)

 

このドラマの好ましい点は、一輝の苦悩した時代もしっかりと描かれているという点。「なぜ自分は人と違うのか」「周りとうまくできないのか」と幼少期に一輝が悩み、苦しい思いをたくさんしてきた子ども時代をきちんと描いていて胸をチクンとさせる。でもその時代を描くことで、一輝を優しく包んでくれる祖父の存在や、一輝が唯一遠慮なく我儘を言える家政婦の山田さんの存在が、より一層温かく映る。そしてその過程を経て、今のびのびと好きなことを楽しそうにやっている一輝のキャラクターが、より尊く見えてくるのだ。

 “最近やっと仲良くなれました。「自分」と。”

育美から友人について問われ、返したセリフに私は号泣してしまった。一輝も自分が大嫌いだった。そんな嫌いだった自分を好きになることは難しい。私もやりたいことをやりたいだけやって、生き生きした大人になりたかったけど現実は果てしなく厳しかった。夢を叶えられなかった自分を大嫌いになった時期がある。でも命は短い。どうせならたった一人の自分と仲良くいられたら、より人生は豊かに感じられるだろう。好き嫌いは分かれるとは思うけど、私はこの世界観とても好きだ。育美や今どきの学生たちが一輝から影響を受けて、どう変わっていくのかを楽しみに最終回まで観続けたいと思う。