なりきれない女の雑記

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現実と虚構に溺れる毎日。

宇多田ヒカルライブ「Hikaru Utada Laughter in the Dark 2018」感想

12月5日、待ちに待った宇多田ヒカル(以下宇多田さん)のライブに行ってきた。椎名林檎(以下林檎さん)に続き、なんて私は幸運なんだろう!興奮冷めやらぬうちにライブ感想書き留める。私の2018年はこれで終わった。もう悔いない。

※ネタバレ含みますのでご注意ください。

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入場するまで

会場は私にとってはおなじみの、さいたまスーパーアリーナ。2017年の星野源さんも先日の林檎さんも全部ここ。グッズもあらかじめネットで買っているし、後述する入場のスムーズさを振り返ると、正直もうちょい遅く行っても余裕だったなと思うが、開場1時間前の17時に到着。グッズ売り場を見てみると、事前購入の方が多いからか、17時時点でガラガラ。もともとTシャツとタオルは買っていたけど、実物を見てビーニー(ニット帽)が可愛かったので、その場でお買い上げ。早速被って気分をさらに盛り上げる。

一人参戦のデメリットは待ち時間が暇な事だ。携帯の充電はフルの方がいい。今回仕事を早退しての参戦だったが、携帯の充電するのを忘れていて、暇つぶしに携帯いじるのを控えなければいけなかった。なのでスタバに入ってコーヒーを買い、ベンチに座って宇多田さんの名曲をシャッフルで聴きながらひたすら人間観察をしていた。けやきひろばを行き交うのは30代以上のカップルが多く、ライブグッズのグレーのフーディーを着てる率が高かった。あまり奇抜な方はおらず、皆シンプルにお洒落な方が多かった印象。そういや林檎さんの時と比べて、全体的にトイレとかスタバが空いてたな。そうこうしていると入場の時間に。コーヒーを飲み干し、そそくさと会場に向かう。入場は本当にスムーズ。事前に登録しているマイページから電子チケットを表示させ、画面のQRコードを係員に読み取ってもらい顔認証も同時に受ける。一瞬だった、ほんと一瞬。

 

厳かな始まりから唯一無二の空間へ

今回も林檎さんの時と同じく席は400レベルだった。しかし、前回はほぼ正面でもかなり遠いところだったが、今回はステージの横だったので結構近かった。ステージ脇は見にくいが、宇多田さんは肉眼で見える。映像パネルも見やすい。なんだ、400レベルも悪くない。近くを見渡すと、結構年配の方も多かった。ご夫婦率高っ!羨ましいなぁ。うちの夫は宇多田さん聴かないからなぁ。そう思ってると両隣がまたカップルで埋まっていき、会場はあっという間に満席。熱気がすごかった。しかし、開演5分前あたりから会場のざわめきが静まり、厳かな雰囲気で宇多田さんの登場を待ちわびる。こんな光景今まで初めてかも。

そして会場が暗くなり、奈落から宇多田さんが。いきなり『あなた』が始まる。うわぁぁあ!って歓声あげる暇なんてない。ぞわわっと鳥肌が立つ。本当に“宇多田ヒカル”って存在するんだ・・・と目の前で彼女が歌っているという事実を脳がすぐ処理できなくて、一瞬フリーズした。会場にいた皆さんの時が止まっていた気がする。脳に彼女の歌声が浸みこみ、やっと現実だと認識したとき、気が付いたら涙がこぼれていた。序盤の音が若干現実味がない聞こえ方だったような気がする。でも12/4星野源ANNでも言ってたけど、私の座席がステージ横だったから聞こえ方に差があったのかもしれない。会場の温度や湿度で音は変わっていく生き物。数分したらどうでもよくなった。彼女の歌声がまるで清らかな水流のように会場を巡り、目の前に“宇多田ヒカルがいる”という奇跡の瞬間にいる幸せで満たしていく。

その後、『道』『traveling』『COLORS』というリズミカルな曲が続き、みんな思い思いに音に身を委ねていく。宇多田さんも「みんなももっと一緒に歌ってよー!」と煽る。私も全てを忘れてノリノリでリズムに乗る。少しMCが入ってシーンが変わってからのPrisoner Of Love。聞きたかったからもうゾクゾクするほど嬉しくて、声にならない声が出てしまう。続いての『Kiss&Cry』では、ラストが『Can you Keep A Secret』とリミックスされてて超絶かっこよかった。自分の語彙力の足らなさが悔しくなるほど、最高で贅沢な空間だった。

 

ゆるゆる、そしてウルウルさせるMC

MCでは、彼女らしさが際立った。「あ、お水飲もうとしたら明るくなっちゃった。」とゆるーく始まり、挨拶。そして1日目のMCで言ったことの訂正から始まる。「さいたまスーパーアリーナでライブをしたのが17歳の時の2000年で18年ぶりかもと言ったら、その2000年は千葉マリンスタジアムで、さいたまスーパーアリーナは2006年でやったという・・全部間違ってたよ。あはは。」と会場が笑いに包まれ、和む。MC慣れしていなくてシャイな感じがとても可愛らしくて、もっともっと大好きになってしまった。特に、今回の20周年記念のツアーに際してのMCがとても印象的だった。

活動休止と発表したときにもうライブ見れないのかと思った人もいるだろうし、私もその時はライブやるだろうなと思ってたけど、そのあと色々あって人前や明るいライトの前に出るのが無理になった時があった。そんな中ライブができるのか心配になったけど、やりだしたら今までで一番ライブを楽しんでる状態にいるんだ。みんなひっくるめて20年ありがとう。ここでライブできてることが嬉しい。ほんとうにありがとうございます。

(記憶をたどった内容なのであしからず笑)

そう言ってくれたのだ。泣くだろ。泣くよね。私こそあなたのおかげで生きてこれました本当にありがとうだよーーと流れる涙をタオルで押さえてたら、「うん。じゃ、次いきます」って1秒で切り替わって、さっきまでのふにゃんとした話し声から一転、最高の歌声を聞かせてくれるんですよ。こっちはハッ!!ってなるんですよ。ほんと化け物ですよ。(褒めてる)

 

シンプルな演出だからこそ際立つ彼女の凄さ

ライブ自体はとにかくシンプル。衣装は前半は黒のロングドレス・後半は黒白のアシンメトリードレス・最後のアンコールはライブTシャツ(黒)に黒いパンツという3つのみ。シンプルなドレスから見える少し筋肉質な背中と腕がセクシーだった。この腕にお子さん抱えてるんだな、となんかグッときちゃったよ。照明も曲に合わせたカラーで彩る程度で、特殊なレーザーとかはない。映像も歌っている宇多田さんの切ない表情を映してくれる。『ともだち』『Too Proud』『誓い』では近未来的な音楽と照明と宇多田さんの歌声がもう見事に混ざり合って、最高のクラブシーンのようになっていた。もちろん全体において素晴らしくて、ここは日本か?埼玉じゃなくて実はニューヨークなんじゃないのか?と錯覚に陥るほど、もう最っっっ高にかっこよかった!!!!

林檎さんの時は会場全体がテーマパークのようで全体に目と耳が向いていたが、今回はもう耳も目もすべてが宇多田さんに一点集中。正反対。もちろんどっちがいいとか甲乙をつけるつもりはまったくない。どちらもとても良い。大好き。

前半・後半を分けるところでは、又吉直樹さんとの「絶望の中の笑い」をテーマにした対談コントが流れ、会場が笑いに包まれる。脚本も又吉さん。「SONGSスペシャル」でも対談の相手に又吉さんを指名したほどだから、よほど宇多田さんと又吉さんには通じるものがあるんだろうなぁ。たしかに文学的な価値観とか結構似ていそう。シュールで面白い演出だったなぁ。ぜひ円盤に収録してほしい。セリフ棒読みの宇多田さんが暴挙に出るところが本当に最高だから。スパーン!!

 

彼女と私の20年間に想いが爆発する2時間半

林檎さんの時もこれでもかと泣いたんだけど、私にとっての本丸・宇多田ヒカルはやはり想像以上に泣いた。彼女が活動してきた20年は私にとっても激動の20年で、彼女の曲一つ一つに思い入れがある。イントロが流れるともう走馬灯のように当時の想いがよみがえり、涙腺ダムに水分が溜まっていく。歌詞と気持ちがリンクしていき、曲がクライマックスに差し掛かったところでついに涙腺ダム崩壊。目からも鼻からも放水。両隣カップルに挟まれた単独アラサー女が一人ズビズビ言ってて少々恥ずかしかったぜ。それを数回。いやほとんどか。笑

前半部分の過去曲SAKURAドロップス『光』では、昔の淡い初恋を思い出すなど、過去を思い出し甘酸っぱい気分でホロリと涙したが、後半では今ここで彼女の歌を聴いているという現実や、20年間応援してきた自分の20年に想いを馳せて、セルフ感動して泣いてしまった笑。特にセンターステージでの真夏の通り雨』『花束を君には本当に泣きすぎた。宇多田さんが亡き母を想って書かれた歌、辛い気持ち乗り越えて今こうして私たちの前で歌ってくれてるんだなと思って泣けたし、私もこの20年間色々乗り越えたなぁと思って、こんな最高のご褒美に恵まれて今まで生きててよかったなぁと思ってむせび泣いてしまった。しかもその後畳み掛けるように『Forevermore』、そして『First love』『初恋』と続くからもう目が…水分出すぎてカラカラに。

 

アンコール、そして最高のフィナーレ

これが最後の曲・・・と『Play A Love Song』で軽やかにしめくくる。この曲も大好きなんだよなぁ。長い冬が終わる瞬間〜♪からの開放感がたまらない。照明もレインボーカラーで楽園感があってとてもよかった。夢のように曲が終わってしまい、一旦放心。いや、これで終わって欲しくない!!と思って手拍子して待っていたら、しばらくして「呼んでくれてありがとー!」とゆるーく戻ってきてくれた宇多田さん。和む。

歌わないかなーと思っていた『俺の彼女』がここで。低音がお腹に響いて身震いするほどかっこいい。ちょうど目の前に友達同士に思われる男性二人組がいて、男の人からしたらどんな風に聞こえる曲のかなーって少し気になったりして。そしてそこからの『Automatic』!!!アンコールでまたテンションぶち上がる。ちょっとファンクな感じのアレンジでもうグルーヴ感が最高だった。デビュー時の若々しさも大好きだけど、35歳の彼女が歌う『Automatic』も味わい深くて、また泣いてしまった。泣きながら自動的に揺れる私。もう誰にも止められない笑。

そして名残惜しくも本当にラストへ・・・。『Goodbye Happiness』という選曲が見事の一言。この幸せからサヨナラしなきゃいけない現実を突きつけられる笑。あの頃には戻れないけれど、私はもう一人じゃない。私は宇多田ヒカルというこの時代の奇跡を目の当たりにしたのだから・・・。そんな多幸感を最後に残して、女神は控えめに投げキスをして去っていった。

 

最後に

はあ・・だいぶ長くなっちまったぜ。読みにくくてすみません。もうね、長くもなるんですよ。ずっと会いたかったんだから。でも、本当にこの夢の時間が終わって思ったことはこれだった。

宇多田ヒカルがいるこの時代に生まれてよかった。

そして、これからも彼女の歌と共に生きよう。

 

 

以上!!

ありがとうございました!!