なりきれない女の雑記

なりきれない女の雑記

現実と虚構に溺れる毎日。

『獣になれない私たち』晶は晶の人生を生きることにした

晶が本来の逞しさを取り戻した気がする、けもなれ第7話。長く暗いトンネルからやっと外の世界が見え始めた回だった。10月10日の初回から今までで、初めて後味の良い水曜23時を迎えたんじゃないだろうか。晶が新しく生まれるのに立ち会った気分で、私自身とても清々しかった。※以下ネタバレ含みます。そしてすんごく長いです。ご注意ください。

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恒星のお金の出所とウソと本音

呉羽の店からの帰り、晶と恒星はいつもと違うバーに立ち寄る。恒星が晶の分も支払ってくれたお金の出所について晶は尋ねるが、恒星は粉飾に関わった見返りということを80年代の映画になぞらえて、嘘か本当かわからないまま濁す。晶が真面目に話そうとしない恒星をたしなめると、逆に京谷に本音で話せたのかと聞かれる。以前は京谷に本音を話し、生まれて初めて人に愛される幸せを感じていた晶。それなのに、いつのまにか京谷に対して本音を話せなくなっていたのだ。それを笑い話のように話す晶を恒星は真面目に聞いている。そういう二人こそ本音で話し合っているということにいつ気が付くんだろう。そんな風に少しそわそわしながら観ている私。

 

京谷にとっての幸せと責任

場面は変わって、京谷は上司の橋爪部長とお昼を食べていた。「バカかお前!!」という橋爪部長の怒号が店内に響く。京谷と晶、そして朱里との関係を聞いた橋爪が京谷を一喝したのだ。ナイス部長。本当にグッジョブ。もっと言ってやって笑。朱里を引き入れたのは自分だから面倒見るのは自分の責任、晶との関係をちゃんとするのも自分の責任・・・と「責任」ばかり口にする京谷に、橋爪部長は疑問を投げかける。

部長「お前のそれなんなの?責任責任って」

京谷「そういうもん・・・でしょ?」

部長「深海さんのこと好きなの?」

京谷「好きですよ。好きじゃなかったらこんな苦労しませんよ。」

部長「お前の幸せって何?人生の目標。」

京谷「子ども欲しいし、幸せな家庭・・・え?そういうもんでしょ?」

部長「お前が深海さん選んだのわかる気がするわ。」

そう、京谷は「幸せ=家や子どもを持ち、家庭を築く」というステレオタイプのもと「愛する=相手を幸せにするという責任を果たすこと」と考えているのだ。自分が両親に愛され何不自由なく暮らしてきた環境を普通と捉え、「幸せとはそういうもんでしょ」と世間も自分と同じように考えているはずと思っている。だからこそ、朱里に「愛せなくてごめん」と言い、理想的な女性である晶を選ぼうとしている。もちろん、京谷の考えが悪いわけではない。むしろきっとそういう人って多い。しかし、京谷がだめなのは、純真無垢なのか、鈍感というか、目の前の晶の表面的な部分しか見えていないところだ。晶が恒星と話している内容なんて微塵も想像できていないだろう。いつも自分にポジティブな面を見せてくれる晶が可愛くて好きなのだ。だから前回のように自分が理想としている晶と違う面が見えたときに「可愛くない」と言い放つことができる。器が広いけど浅い。まったくもっておめでたい。ほんと中の人が田中圭じゃなかったら今頃相模湾の藻屑になっていたところだ笑。

 

晶に必要なものは「女友達」

他者の目線と言葉は大事だ。晶には自分を客観視してくれる女友達がいたほうがいい。時に叱咤し、時に褒めてくれるような。呉羽や夢子がそんな存在になれば結構最強だと思うのだが・・・。

魔法の言葉

晶の心に光が差し始めたのは呉羽とのシーン。京谷と関係を持ったことを100ハグで許してと言う呉羽のノリにほだされ、1000ハグで許すことにした晶。そうか、ハグで許しちゃうのかと思ったけども、晶にとってはもう京谷への気持ちが離れてるんだろうなということがここでわかる。前回の呉羽の告白で、女として共感できる部分に同盟的な感情を持ったのだろうか。素直に隣に座ることを許し、一緒にお酒を飲んでいる。話の中で、本音で相手と向き合いながらも奔放に見える彼女をうらやむ晶に、呉羽は「私は晶好きだよ」と言う。晶が欠点だと思っている「周りの事を考えすぎるところ」を「特殊能力」「武器」と昇華してくれるのだ。ちょうど僕キセでも好きなところ100個あるというくだりがあった。自己肯定は自分だけではできない。他者の言葉に救われる。呉羽はそれがナチュラルにできる人なのだ。仲良さそうに5tapを後にした二人を見て、恒星同様、私も良いものを見たと思った。

夢子のバランス感覚 

そして、松任谷夢子と上野のやりとりでも、晶はハッとさせられる。打ち合わせの準備と言ってカメラのない会議室に逃げ込んだ夢子と上野は、先日の樫村地所との会合中に立ち聞きした晶と京谷のやりとりについて話している。

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夢子「彼氏にあんなこと言われたら、私だったら立ち直れないかも。<中略~会合の店前での晶と京谷のやりとり~>『かわいくない』だよ?『かわいくない』!深海さんに乗り移って代わりに言ってあげたい。『かわいくなくて何が悪いんじゃボケ!うっさいわ!』って。」

上野「でも僕もちょっと思っちゃいました。深海さん笑ってるほうがいいなって。」

夢子「なら、自分で笑わせなさいよ。散々深海さんに迷惑掛けといて何言ってんの。」

一言で夢子、最高。あんなに同僚として最悪に感じられた夢子の株が、ここまで爆アゲになるとは思わなかった笑。何より演じる伊藤沙莉ちゃんの絶妙な演技が素晴らしい。本当に夢子は良い子なんだよな。自分をよくわかっている。一度自分に絶望して、周りとの付き合い方を変えた賢い子なんだと思う。きっとこの職場じゃなかったら、多少抜けていても彼女の洞察力などの長所を見出して上手く伸ばしてくれる上司に引き上げられ、活躍できたかもしれない。そして、晶がもし夢子に心を開くチャンスがあるなら、最強の女友達になるかもしれない。

 

誰の人生を生きてるんだろうね

晶のため?に災難続きの恒星

一方で、朱里は相変わらず困った女だ。晶が立て替えた飲み代と勝手に持ち帰った千春からの晶への荷物を届けに、深夜に晶の家で待ち伏せする。そして、終電もお金もないからと、図々しく晶の家の玄関前で寝ようとするので困った晶はやむなく部屋に泊まらせる。(ウサギは大丈夫かとTwitterのTLに心配のツイートが並ぶ笑。)晶がいない5tapに堂々と顔も見せ、恒星と対峙する。

朱里「みんな深海晶が好きだよね。気が利いて愛されるキラキラ女子。」

恒星「そう思うよな。だけど、実際の深海晶はいつも無理して死にそうな、周りに都合よく使われるギリギリ女。」

朱里「は?」

恒星「君さ、自分が一番不幸だと思ってるでしょ。」

朱里(恒星をにらみつける)

恒星「不幸の背比べは楽しいですか?」

朱里(飲んでいた自分のビールを恒星にぶっかける)

恒星よ、いつもいつも晶のために災難に遭っているね。駆け付けた晶にその後「余計なこと言い過ぎ」と窘められるけど、私は言いたい。晶、恒星は何も悪くないの笑笑。恒星の良いところは、京谷に殴られたり朱里にビールぶっかけられてることを晶本人に言わないところ。言葉はナイフだけど本当は優しい。というより前より優しい気がする。表面的には社交的に見えて、本当は人と深く関わらないようにしていた恒星にとって、ここまで他人のために感情的になったり、口を出したりする行為はなかったんじゃないだろうか。恒星の中でも何かが変わり始めているのを感じた。

晶と朱里

朱里が、恒星に痛いところを突かれ晶の家(そもそも自分の家ではないが笑)に逃げ帰り、電気も付けずうずくまっているところに、晶がビールを持って帰ってくる。本音で話したいと言う晶に、朱里は「バカじゃない?」と跳ね返す。

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「私と朱里さんって似てると思う。」

朱里「どこが!?全っ然違う!」

「性格は全然違うけど、京谷と出会った順番が逆だったら、私が朱里さんだったかもしれない。朱里さんって帰れる実家ないんだよね?私も。それでもがんばって働いて、毎日笑顔で、みんなに頼られて、前向きに生きてる。」

朱里「イヤミ?」

「“そういう深海晶”が京谷は好きだったんだよ。目の前で苦しんでる朱里さんが、言ってしまえば重くてどうにもならないから。その代わり?だから私は朱里さんとは正反対の、明るくて物わかりの良い優しい女を続けてた。京谷の前でずっと。」

朱里「私は暗くて優しくない女?私だって、仕事がうまくいってた時はもっと・・・」

「うん。」(わかってるよ、という顔で)

朱里「(晶の顔を見て)ムカつく!!(晶が持ってきたビール飲みながら)こんなビール一本で懐柔されないから。餌付けされたんじゃないから!」

「はい。」

朱里「・・・私も思った時ある。京ちゃんはあたしにあなたみたいになってほしいんだなって。でも違うから。どんどん逆のことした。」

「私たち、誰の人生を生きてきたんだろうね。」

京谷は、のんきに晶と楽しく過ごしていた4年間の中で、二人の女がこんなにも自分のために生きていたとは思わないだろう。実際、いくつもの顔を持って私たちは生きている。家族向けの顔・恋人向けの顔・友達向けの顔、仕事向けの顔・・・。でももちろんそれは「自分のため」にやっているはずだ。そしてどの相手に対しても「自分本来の部分」を残している。だからいくつもの顔を持っていても、さほど苦痛にはならない。しかし晶も朱里も自分がそうしたいからではなく、相手がそう望んでいるだろうと思って「相手のため」に自分を演じていたのだ。そのことが共通点だった二人。第5話では、お互いをコンプレックスに感じて嫌悪し合っていたのかと思っていたが、二人はやはり似ていて、表と裏のような関係だったのだ。

 

京谷との決別

朱里とビールを飲んだ翌日、千春から連絡で京谷の実家に来た晶。病状が悪化している京谷の父・克己の入院について、花井兄弟と対立している千春に加勢し、ずっと独りで夫を介護し、自宅で看取る覚悟を決めてきた千春を支えるよう兄弟を説得する。その後京谷と二人きりになり、相模湾を目の前にしながら、晶も“ある覚悟”を口にする。

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「私ね、京谷が好きだった。京谷と付き合って初めて、愛されるってこういう事なんだって思って、私の人生も捨てたもんじゃなかったって生まれて初めて思えた。京谷と別れるってことは、私にとって人生を捨てるのと同じだった。捨てたくなくて、しがみつくばっかりで、笑ってごまかして。本当の事何にも言えてなかった。でもそれってもう私の人生じゃないよね。私は私の人生を放り投げてた。投げたくない。だから、京谷とは終わりにする。」

京谷(泣きそうな顔で晶を見つめてじっと聞いている)

「はぁ・・ああ、やっと言えた。あ、そうだ。可愛くなくて何が悪いんじゃボケ、うっさいわ!(言った後照れくさそうに笑う)」

やっと言えた!晶にとって生まれて初めて愛される喜びを与えてくれた人との別れは悲しいはずなのに、なんて清々しいのだろう。晶はもともと逞しい女性だったはずなのだ。様々な人生の修羅場を乗り越えてきたのだから。愛され守られる幸せを知り、少し依存し始めてきた自分に気づき、その依存から脱する道を選んだだけなのだ。涙を見せずに凛として話す晶を見て、ただのドラマの世界なのに「これからも晶は大丈夫だな」と確信した。京谷が思うよりずっと強く自分で自分を幸せにできる女なのだから。そして、京谷は去ろうとする晶を呼び止め、朱里にマンションを譲ったことを言おうとするも、お土産を持ってきた千春に遮られ、話すのをやめてしまう。そもそも、そういう押しの弱さがすべての原因なんだよ、京谷。笑

 

5tapに戻り、今までで最高の笑顔のビールを飲む晶。そこに恒星が立ち寄り、疑惑の300万円について、今後どうするのか晶に追及されるところで終了。11月末に二人はそれぞれどのように動き出すのか。また、なぜ朱里は晶の会社に面接に来たのか。来たる28日(水)第8話が待ち遠しい。

 

余談だけど、ビッケブランカが歌う挿入歌「まっしろ」が収録された新アルバム「wizard」がとても良い。冬にぴったりなナンバーばかりで早く雪降ってほしくなる。


ビッケブランカ / 『まっしろ』(official music video)(日本テレビ系水曜ドラマ『獣になれない私たち』挿入歌)

wizard(CD+DVD)(初回生産限定盤)

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『大恋愛』ムロツヨシVS小池徹平の怪優対決が怖い

俳優って怖いわー。第5話では「このやろう、我らが戸田恵梨香をあんなに泣かせやがって」と尚をこっぴどく振った真司にイラつかされたのに、今回の尚の笑顔を見せられたら、あの真司はなんだったの?もう尚を離さないで!と先週の怒りは何処へやら、この二人の怒涛のジェットコースター展開に呆れつつもどっぷりハマっている私を再確認したのだった。その二人を脅かす小池徹平の怪演もすごかった。・・・と言うわけで、今回は第5話・第6話まとめた感想です。

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別れから結婚まで

観てるこっちのメンタルがやられるほどの展開の速さ

前回の第5話は真司(ムロツヨシ)が尚(戸田恵梨香)を支えていく自信がなくなり、急に尚の前から姿を消してしまう。9ヶ月後、尚は憔悴しきり、MCIの症状も少し進行し鬱症状も出ており、静かに死を意識し始めていた。そんな中立ち寄った本屋で真司が出版した本『脳みそとアップルパイ』を見つけ、真司が小説家として復帰し、再評価されたことを知る。真司の著書を知った侑市(松岡昌宏)のサポートもあり、真司と尚はいつもの居酒屋で再会し、結婚を約束する。そして尚の母からも祝福を受け、二人は無事に結婚する・・・。なんだこの怒涛の展開、こっちの心が追いつくのに大変だ。

侑市を誰か幸せにしてあげて

怒涛の急展開の連続で心がついていかずセリフも頭に入ってこなかった第5話。いや、ハッピーエンドで最終回のような終わり方だったし、尚も真司も可愛かったので良かったけど。だ・け・ど!ちょっと雑にも見えちゃったよ。結婚したから良かったんだけど、真司の振り方が徹底的すぎてトラウマレベル。急に「別れよう」からの、荷物送りつけるあたりが「ちょっと待てコラ。あまりにもひどいだろ、ストレスで症状悪化させてどーすんだよ?」と真司に殴り込みに行きたくなった笑。再会するにしても侑市母がもし本を買ってなかったら侑市が二人に連絡取ることはなかったし、侑市から真司に連絡なかったらこのまま尚が1人だって気づかずにいたんだよね?最初は尚を思うが故に身を引いてるとわかって観てたけど、尚と別れている間の真司の葛藤とか、真司と尚の再会までをもうちょっと丁寧に描いて欲しかったなあ。そしたら真司からのプロポーズのあっさりした感じに対する違和感拭えたわ。二人の演技が感動的だったのにそこだけが残念。とにかく侑市には足向けて寝られないほど、感謝奉らなきゃいけないレベル。二回も振られてるのに好きな女のために身も心も削ってる井原先生を早く幸せにしてあげて笑。

 

イチャイチャが可愛い過ぎて困る

アドリブなのか脚本なのかわからない絶妙な二人の演技

晴れて結婚した二人は新居での生活をスタートさせる。真司の先輩・後輩の前でも尚は幸せオーラを隠さない。ツンもなく、デレッデレだ。こんな戸田恵梨香見たことない笑。引っ越しそばを作って食べる時も、真司の仕事している姿を後ろから覗いている時も、病院に診察行くときも、待合で会計待ってるときも、原稿考えながらの振り向きキスの最中も、ずーっとニコニコしている。どうしよう、すっごい可愛いんですけどwwwでも、この幸せがずっと続くわけじゃないとすでにわかっているから、余計尚の笑顔が切なくなる。そして、何度も言うけどムロさんこんなにイケメンでした?ちょっとムロさんの感情の無いロボットみたいな喋り方が、逆に戸田恵梨香のヒートアップした役をクールダウンさせてて、より一層大人に見せてるのか。よくわからんけど、時折アドリブっぽい二人の間合いがいいんだよね。戸田ちゃんをあんなに笑顔にさせるムロめ・・・笑。てゆか、ムロさんの多面性が怖いよー。日テレやテレ東で観てたムロさんは別人か。ドッペルゲンガ―??笑

 

いきなりサスペンス!

間宮夫妻に忍び寄る猛禽系男子・松尾公平

真司の付添いもあって二人そろって尚の診察に訪れると、隣に座った松尾公平(小池徹平)に「どちらが井原先生の患者か」不躾な質問を受ける。尚と真司は戸惑って答えないでいると公平は謝り、そこでちょうど尚達が診察に呼ばれる。この、何か意味ありげな公平の登場が観ているこっちの心をザラッとさせる。公平は尚と同じMCI(軽度認知障害)を患い、侑市の診察に通っている患者だ。真司に支えられ、仕事も続けられている尚とは異なり、公平は自分がMCIとわかると妻には出て行かれ、職も失いかけているという不遇な立場に置かれている。そんな公平は獲物をやっと見つけたかのように、尚たち夫婦に忍び寄ってくる。ラブラブから一転急にサスペンスチックに!!

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小池徹平の怪演

まずこの公平のグイグイくる感じにとても恐怖を感じる。公平は自分と同世代で同じ病気の人に出会えたのが単に嬉しいだけなのか。私には、公平が自分と尚を比べて自分の不幸な感情と同じレベルまで引きずり下ろそうとしているように見えてならない。もしくは、純粋にやっと自分を理解してくれる人が現れたという気持ちで、尚が女神にでも見えるのか。尚に近づくキラースマイルの陰に隠された真意が見えずとにかく不気味だ。何より、演じる小池徹平がうまい!!小動物のように丸っこい潤んだ目とは裏腹に、心の底で真っ黒い感情を秘めている表情にゾクゾクさせられる。『ごくせん』とか『シバトラ』を演じてた頃はそんな印象なかったのに、歳を重ねてから影がある役とか深みを増している感じ。ムロツヨシを圧倒する怪演っぷりとこれからの展開に目が離せない。

 

第2章もハラハラ落ち着かない

尚と真司を取り巻く人たち

その他では、真司の担当編集・水野明美役で木南晴夏さん出てきて、「絶対、尚のことちゃんと理解してないよね」って感じがチラチラ見せるの、ほんと上手い。かいがいしく真司に接する姿に尚に対するライバル心が少し垣間見えて心をざわつかせる。尚と真司の間にヒビでも入れようってことなら、もう変な魔法かけるで!!っていうくらい公平に続いて心配な存在。そして、仏の心と器を見せつけてくれた侑市も、何やら尚の母と良い感じ。え?そこ笑?きっかけは??という感じで、尚と真司の周りもザワザワしていて、ところどころぶっ飛んでる展開が恋愛ドラマの大御所・大石静先生ならではと思わざるを得ない。とにかく第1話からずっと落ち着かないな!このドラマ。ここまできたら、このジェットコースターから降りることはもはやもうできない。

 

『獣になれない私たち』晶と呉羽と男たち

どうしたら男と女はわかりあえるんだろう。わかりあえることを期待する方がばかばかしい。所詮他人とはわかりあえない。共感しても何も正解は出ないし、問題は解決しない。ただただ前に進むしかないのだ。そんなことをぼんやりと考えさせられながら、夫と「けもなれ」第6話を鑑賞していた。※以下文字起こし・ネタバレ含みますのでご注意ください。

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鐘?金?誰だよ、カイジ

今回は呉羽の夫である「橘カイジ」がどんな人物なのかということがフォーカスされ、カイジに対する恒星の嫉妬が浮き彫りになる回だった。呉羽の前では晶を呼び捨てし、あたかも深い関係であるようにふるまう姿に、晶同様私もニヤニヤ。カイジと呉羽が偽装結婚だという噂を知ると、顧問の税理士であることを理由に呉羽の会社を訪れ、内情を探ろうとする。呉羽の事となるとフットワーク軽いねぇ。

結果、呉羽は以前のモデル事務所から契約問題で訴えられており、1000万円の損害賠償を求められていたことがわかる。カイジと呉羽の結婚は「鐘」ではなくて「金」だったのか?という疑惑の目が深まるばかりだったが、確証はなく、憶測で話は進んでいくのだった。

女は男の夢?松任谷VS筧

一方で晶は、仕事の会合で京谷と会うことに。京谷が務める大手デベロッパー・樫村地所のECサイトを、晶が務めるツクモクリエイトジャパンが作ることになったのだ。その宴席で、京谷の部下である筧(吉村界人)は酔っぱらって、筧は晶と京谷の関係を、晶の同僚の松任谷(伊藤沙莉)と上野(犬飼貴史)に暴露してしまう。そもそもこの筧というやつは、京谷が口にした言葉の矛盾や言動の違和感をすかさず指摘し、晶との関係などのプライベートな部分にもぐいぐい踏み込んでくる空気の読めない、いやあえて読まない男で油断ならない爆弾のような奴なのだ。人前でキスする女は嫌だ、携帯の待ち受けを恋人にする女は嫌だ、女はすぐ浮気するという完全に女を見下した発言に、とうとう松任谷がキレるシーンは私の心の中で拍手喝采だった。

松任「だいたいさ、どうして女の浮気はだらしないとか言われて、男の浮気は甲斐性みたいに言われるの?」

「男は女に夢を見たいんですよ。」

松任「女の夢はどうなんの?見せてみなさいよー!」

仕事にもやる気がなく、完全ぬるま湯女で他人の事に興味なさそうな松任谷が、非常にまっとうな人間だと気づかせてくれた瞬間。そもそも、晶の異変に彼女だけが気づいてた。常にベクトルは「自分がいかに幸せに過ごせるか」に向いていて、その分心に余裕があって、愛し愛される喜びを知ってるから素直な良い子なのだ。環境が違ったらものすごく仕事出来る子だったかもしれない。笑笑

そんなことに感心してると、暴君・九十九と京谷の上司・橋爪が合流する。乱れた場を取りまとめられてないと晶に怒鳴る九十九を先輩である橋爪が一喝。スカッとジャパンかと思った。気持ちよかったー!笑笑(でも橋爪のような先輩が将来の暴君を生んだ可能性もある)

京谷との温度差 

晶は京谷と2人になったところで、恒星とのキスのことを切り出す。京谷は自分が見ているのを知ってて恒星にキスをした晶を責め立てる。しかし、晶も応戦。朱里との関係を清算できないことや、呉羽との一夜など痛いところを突いてくる晶に「俺の気持ちはわからない」、挙げ句の果てに「今の晶は可愛くない」と言い放つ。思わずテレビの前で「はぁ?」と言ってしまった。ナニイッテンノコイツ・・・。いいか、中の人が田中圭じゃなかったら、全女性が総力を挙げてつぶしにかかるほどのセリフだよ。女は男に可愛いと思われるために生きてんじゃないんだよ。子宮の中から出直してこい。松任谷も宴席で筧に怒りをあらわにしていたけど、「女性は常に清らかで穢れがあってはいけない」という偏見から来る女性側への非難(=スラット・シェイミングというらしい)について、こうしてセリフの端々で織り交ぜて、見る側に認識させてくれる野木さんの脚本力にただただ感服させられる。とにかく京谷も筧も子宮から出直してこい笑。 京谷に呆れ、晶はその場を後にし、呉羽のお店へ向かう。そして呉羽に感情を爆発させる。

「呉羽さんのせいだから!呉羽さんと京谷がそうなっちゃったから私もバカなことして、でも結局してないし、あぁキスはしたけど、でもその・・してもないのにイーブンか私の方が悪いみたいな感じで・・・なんで?全然納得いかなくて。でも言う相手もいなくて、でもよくよく考えたら呉羽さんが発端だから。呉羽さんだけが悪いんじゃないけど、誘いにのっちゃった京谷が悪いんだけど。でもそうなっちゃったのは私が京谷を責めたからで。私が今日は帰ってとか言っちゃったからで。でもそれは京谷が・・・こんなこと言っても何にもならないのに・・・」

呉羽「・・・疲れちゃうね。疲れちゃうよ・・・。」

「私許してませんよ、呉羽さんのこと。」

呉羽「うん。抱きしめたくなったから抱きしめてるだけ。」

なんでこう晶は結局自分を責めちゃうかな。私も呉羽を押しのけて抱きしめてあげたい。結局晶は孤独で、誰にも感情をぶつけられない。DV父と依存症の母の間でまともな愛を受けず、甘えられずに育った環境もあるのだろう。愛されるために心をつぶしてきた晶の闇は、両親からまっとうに愛され育った純粋培養の京谷には想像もできない闇だ。そんな晶を呉羽は抱きしめる。母性から来てるのか。ただの同情なのか。私には前者に見えた。私には第1話からとても呉羽が常識はずれのアウトローな野獣には見えない。ただただ弱いものを温かく包む母性ある女性に見えた。

呉羽の告白

恒星との別れとカイジとの結婚についても、呉羽の女としての部分が強調されていた。カイジとの結婚は金がらみでもなんでもなかったし、恒星よりカイジを選んだことも呉羽にとっては当然の結果だったのだ。子宮を全摘したことで子どもを授かることが難しくなった女としての苦しみが痛いほど伝わると同時に、好きな人にこの苦しみを伝えられない辛さがセリフに詰まっていた。

呉羽「あたしさぁ、ちょっと前に手術したんだよね。子宮全摘。全部取っちゃったの、卵巣は残ってるけど。筋腫が大きくなって温存できなくなって腹腔鏡手術でして。予後は良好、生活に支障なし。自分次第で何でも手に入ると思ってたけど、この先どんなに願っても手に入らないものができた。恒星には話せなかったんだよね。恒星はきっとその話を聞いたらこう言うんだよ『子どもが作れないからなんなの。そんなの大したことじゃないだろ。』って。でも、あたしにとっては大したことだったの。恒星とは都合の良い関係で、お互いに都合がよくって、楽しい時間だけを共有してた。それはそれで楽しかったし、何にも起こらなければ今も続いてたかもしれない。でも思っちゃったんだよね。あたしにとって大したこと、大事なことを離せないってどんなに体重ねても話せないのって、なんか・・・寂しいじゃん。・・・ね?」

 (呉羽と晶の会話を聞き、黙って立ち去った恒星。それを追いかけた晶)

「呉羽さんのことわかってなかったね。」

恒星「分かってるも何も知らないことだらけだよ。あいつも俺の事わかっちゃいなかったけどな。きっと恒星ならこういう事言うって想像で勝手に人の事決めんなよ。」

「じゃあなんて言った?聞かされてたら。」

恒星「『べつにそんなの大したことじゃねーし。子供ができないからなんなんだ』ってそう言う。呉羽の想像通り。だってそうだろ?呉羽は呉羽なんだから。じゃ二人で一緒になって悲しめばいいの?優しく話聞いて慰めんの?そんな男を俺に求められても、ないものはないし。」

たった1~2分のカットとセリフで、呉羽の人となりを「強くて野生的で奔放な女」から「女性として弱さも含んだ共感できる女」に変えたのだ。この展開が驚きで、恒星と別れを選んだ理由もとても納得できた。そして一方で、恒星の言い分も非常に思い当たる節がある。そう、私自身夫に言われたことがある。悲しいことがあり夫に話しても今一つスッキリしないと言うと「じゃあ一緒に悲しめばいいの?」と返されたことがあった。「結構大したことだってわかってほしいんだよ」って言うと、「わかってもらえたらそれで解決する?前に進まなくない?」と返される。もし呉羽だったら、寂しくなってそれ以上話すのをやめてしまい、ただ寄り添い抱きしめてくれる他の男性に満たされるのかもしれない。私はそれが男女の考え方の違いなんだと飲み込むことで何とか納得してきたけど、この呉羽のセリフで「ああ私も寂しかったんだな」と改めて感じた。それで冒頭の虚無に満ちた感情がぼんやりと浮かんだのだ。そのわかりあえない夫が隣にいながら。笑

晶・京谷・恒星・呉羽がそれぞれ本音をぶつけ始めた中、朱里はまた不可解な動きをし始める。とりあえず、前科一犯になることだけは避けて笑。(個人情報漁って晶の荷物受け取ってるあたりアウトですけど)そして、恒星の怪しいお金の行く末も気になるところでまた来週。引っ張るねー、引っ張りまくるよ野木先生。

 

人はわかりあえない。ましてや男と女なんてもっとわかりあえない。しかもこのドラマに出てくる登場人物はみんな不完全で極端だ。でも、わかりあえないから一緒にいることをやめるのか?わかりあえる関係だけが心地いいのか?そうじゃないと私は思う。わかりあえなくて、色々こんがらがって面白いから「人間」なんだ。だからこんなドラマが生まれるんだと思う。一度野木さんの目になって世界を覗いたら、こんなに一生懸命「生きてる」人たちの姿がもどかしく喜劇的に見えるんだろう。けもなれは紛れもなくラブかもしれないコメディなんだと思う。

うん、何言ってるかよくわかんなくなってきたのでこのへんでやめとこう。

 

隣の芝生が青く見え過ぎた時は

隣の芝生は青く見える病。これ、よくある。

ふと、Twitterを開くとタイムラインに見たことがある顔がアイコンとなっているツイートがあった。超有名コピーライターさんがその人のツイートをリツイートしていたのだ。別に見なくてもいいのに、その人のアカウントを見てしまった。非常に後悔している。見なきゃよかった。心の中のブラックスワンがぶゎぁさっ!と羽を広げてしまった。

かつてその人は陰で私のことを「顔面偏差値低い」と言っていたことがあった。(あ、高校生の頃だよ。)私とは特に仲悪いわけでもなかった。むしろよく知らないくせに、そういうことを他人にサラッと言う女なんだな、という印象の同級生だった。なぜか社会人になってすぐ、会ってお茶したいと言われて家にも行ったことがあるのだけど、結局それっきりだった。なんで会うことになったのか未だによくわからない。ちなみにお茶している時に「前に私の事ディスってたよね?笑」って聞いたら、「やだー!○○(私)さんのことじゃないよぉー、同じ苗字の○○さん(私の友達)のことだよぉー」って言ってくる女。どちらにしても怖い怖い。

その人は、しばらくしてブログがバズり、今はライターとして活躍しているようだ。あまり詳しく書くとバレてしまうので内容は控えるけども、女子向けにも音楽好き向けにも幅広く記事を執筆しているみたい。友達でもなんでもないけど、なんとなくモヤっとしてしまった。ええ、嫉妬ですね。もうどうでもいいはずなのに。嫌いな女(言っちゃったよ)が自分がやりたかった仕事をやってると知った夜の切ないことよ。そんでもって彼女が書いた記事読んだら、まー面白いわけだよ。まー素直にズズズーンって凹んだよ。軽くマントル超えてブラジルよこんばんは。

この差はなんなのか!?って考えたら、差は歴然。その人はいろんな仕事をしながらも好きなものに一直線だったのだ。あるアーティストが好きだったら、熱狂的に追いかけてたのだ。興味がある!と思ったら、めちゃくちゃ掘り下げられる人だったのだ。それをせっせとブログに書いて発信し続けていたのである。私ときたら、せっかく出版社に潜り込めた「リアル・プラダを着た悪魔アンドレア」だったのに、家庭の事情やら何やらでしがみつけずにチャンスを掴めないまま逃げてしまった。今はIT関係であの頃の私が想像もしなかった仕事をしている。人生は勝ち負けではないけど、完全に完全に負け。あ、だめだ・・・黒い沼に落ちて行く・・・。

 

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そんなこんなで昨日の夜はもやっと心がざわついて、久しぶりに眠れなかった。他人の芝生が青く見え過ぎる時ってありませんかね?生理前とか。疲れてるんですよね。だから余計キラキラしている人が眩しい。そして、自分の中のパンドラの箱を開けてしまってモヤっとする。大丈夫、大丈夫。世の中あなたの好きなもので溢れている。ちょいと深呼吸して、いろいろ自分の好きなもの・好きだったことを確かめてみようよ。

心が真っ黒なジェラサーになりそうな時の私の処方箋の一例。

安野モヨコの本を読む

中学生のころからめっちゃ好きなお方。漫画も大好きなんだが、特に20年近く前に出版された『美人画報』という昔VOCEで連載していたコラムを書籍化したやつをずっと大事にしている。今でも時折読み返す心のバイブル。まるで宝石箱のような安野モヨコ先生の絵の美しさにうっとりし、痛快な語り口で綴られるアラサー時代の先生の悲喜こもごもを読むと、元気が出る気がする。 出ている情報はもう古いんだけど、精神は色褪せない。好きだったものをもう一度好きだと思う瞬間、かなり大事。

美人画報

美人画報

 
美人画報 ハイパー

美人画報 ハイパー

 
美人画報 ワンダー

美人画報 ワンダー

 

◆ひたすら好きな雑誌を読む

CREAFRaU、ananなどのワンテーマの雑誌が大好き。好きなテーマや好きな俳優さんが出ているものは保存している。こちらも好きなものを確かめる行為。これらの雑誌は写真も美しいから見ているだけで癒される。嫌な気持ちを忘れて読みふけってしまおう。特に、年末が近づいている今、手土産特集が組まれるから色々な品物に巡り合えて楽しい。ちょっとおしゃれして、誰かに会いに行きたくなるのでおすすめ。

CREA 12月号 (贈りものバイブル。)

CREA 12月号 (贈りものバイブル。)

 
anan(アンアン) 2018/11/07 No.2125 [手みやげベスト2018/田中 圭]

anan(アンアン) 2018/11/07 No.2125 [手みやげベスト2018/田中 圭]

 

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①America's got Talent

今更だけど最近ハマっている。おすすめに上がってきたので見てみたらすごく感動してしまった。とにかく2018年のコートニー・ハドウィンは最高。シャイで内向的な彼女が、曲がかかると別人のように歌い踊る姿にただただ驚いた。13歳とは思えない素晴らしいパフォーマンスだった。ただの一般人が評価されて煌びやかな祝福を受けるのを観るのは清々しい。惜しくも彼女は決勝で敗退してしまったけど、ゴールデンブザーの瞬間がとても感動的で何度も観てしまう。


Courtney Hadwin: 13-Year-Old Golden Buzzer Winning Performance - America's Got Talent 2018

ゴールデンレトリバーと変態飼い主さん

可愛い。猫派だったけど、これ見てると犬飼いたくなる。


今から幸せになります I can be happy !

③茶トラ子猫ひろしの成長日記

3年前からあるチャンネルを今更知った。と言うのも茶トラで検索すると一番最初にでてくるから。悶絶するほど可愛い。茶トラ猫飼いたい・・・。


茶トラ子猫拾った翌朝 ベッドの下から恐る恐る可愛い↑↑ / Sleepy cat Hiroshi: Grumpy morning

④パンダ関連

無類のパンダ好きの私。パンダ観てるだけで幸せになれる。上野のシャンシャンは本当に可愛い。母シンシンとのじゃれ合いが見られなくなるの寂しいな。


パンダのシャンシャン、誕生から1歳までの記録


シャンシャン508日齢(4)2018年11月2日撮影

 

あれ?好きなものを考えながら書いてたら、いつの間にかモヤモヤ消えてるぞ。成功した相手と自分を比べたりするのバカバカしいね。そりゃ名声や好きなものでお金は欲しいけど。また一歩一歩、楽しいこと考えながら頑張ろう。

『獣になれない私たち』一寸先は長門朱里

先日の第5話はとにかくしんどかった。京谷(田中圭)の家に4年も暮らし続ける元カノ・朱里(黒木華)と向き合うため、1人でマンションに会いに行った晶(新垣結衣)。晶は冷静に「ここを出て行くつもり本当にありますか?」と問いかけるも、朱里ははぐらかす。生活のために居続けようとする話しぶりを聞いて晶は「京谷のこと好きだからじゃないの?」と聞く。すると朱里の怒りと途方もない虚しさが言葉となって晶に矢のごとく降り注ぐ。

朱里「京ちゃんはあなたと付き合うから、だから別れてくれって私に言ったの。どうして?なんで私の方だけ京ちゃんの事好きで居続けないといけないの?あぁ自分の彼氏はモテる人だって思いたいんだ?それでも私の方を選んでくれたーって。幸せだね。幸せでキラキラしている人は違うねー。ふーん、ウサギの餌まで買ってきて。自慢?お前とは違うんだって言いたいの?いつまでも無職で何にもしてない私とはそりゃ違うよねぇ。」

「私だってラクして楽しく働いているわけじゃ・・・」

朱里「はぁ?何贅沢言ってんの?仕事があって、仕事ができて、好きな人に好きって言ってもらえて、お義母さんにも気に入られて、なんでもあるじゃん。私なんて4年間ずっとここで、こんなスウェット着て、派遣会社行ってもお前に紹介する仕事無いって言われて、京ちゃんにも…。京ちゃんにもお前と晶は違うって言われて。話し相手はゲームとウサギだけ。私ウサギを飼ってもいけないの?なんにもないのに。あなたが持ってるいろんなもの私何にも持ってない!あなたみたいな人大っ嫌い。」

「・・・私はあなたが羨ましい。そんな風に泣けて。」

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いやー、ここ最近で一番観ていてしんどかったかも。だって数年前の私ですやん、朱里ちゃんって。いや、今でも心の中に朱里はいる。だから全然嫌いになれない。むしろ抱きしめてあげたい。

私自身も職場でいじめにあったり、転職先がブラック企業で追い詰められたりが続いて心身ともにボロボロになり、かつ親のことで問題抱えてたりで本気で「生まれてこなければよかった」と自尊心が低くなっていた頃、友人とかが「仕事つらいわー」とか「彼氏とうまくいかないわー」って言うと、心の中で「いやそのくらいで辛い辛い言うなよ、私の方がもっと辛いわ。てゆか君、私より給料いいし。親も余裕あって楽しそうじゃん。」って思っていたし態度に出てたよ。ごめん、その頃の友人たち。でもね、誰しも朱里のような自分を抱えてると思うのだよ。私がしんどい頃、同じようにしんどかった友人たち。辛いという感じ方は人それぞれ違えど、朱里のように自尊心が低くなって、相手を攻撃して自分を可哀そうがることでしか誰にも自分を守ってもらえないような状態って誰でもなり得るんだよ。

この晶だって、朱里のようにはっきりは言えなくても、同じような状態。そして同じく朱里のような存在が大嫌いだと思う。お互いがコンプレックスの化身なんだ。この二人は相反するようで、実は鏡のような存在なんだよね。本心が欲している自分。でもお互いに表面しか見えていない。朱里はキラキラしている人がどれだけ努力をして今の地位にいるか、どれだけ我慢をして傷だらけになって立ち続けているかが見えていない。本当は朱里にも晶の傷が見えているけど、結果的に今の私より多く持ってて幸せそうだから敵。だから攻撃する。しかしその言葉はブーメランで、言えば言うほど朱里自身を傷つけてるんだけどね。本人は気づく余裕がない。晶は晶で、自分を守るために人に甘えて図々しく、感情的になれる朱里が羨ましい。そんな2人の話が通じ合うわけがないから堂々巡り。観ていてこっちもしんどいこと極まりなし。

仕事もプライベートも堂々巡りな晶。疲れ切って、とうとう心がショートし、脳がぶっ壊れ始める。民謡「幸せなら手を叩こう」を鼻歌で歌いながら、スタンプのように張り付いた笑顔を湛えて、前以上に淡々とハイスピードで仕事を片付けていく。その間ずっと「幸せなら手をたたこう♪」のメロディが流れ、サブリミナル効果のように「パンッパンッ」と手拍子する映像が挟まれ、より一層恐怖感をあおる。

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自分は幸せだ、幸せだ・・と思いこませようとする晶。沢山登録されている連絡先を眺めても、この辛さを吐き出せる人はいない。考えることをやめて、笑顔で何もなかったように静かに自分を殺していく。高層ビルの階段に登る晶が本当に切なくて苦しかった。今死んでもきっと周りは「あんなに笑顔で生き生きと仕事していた深海さんがどうして」ってほざくんだろう。誰も気づかない、理解しようとしない、それも一種の暴力だ。そう思った。

こんなに2人をここまで追い詰めたのは、紛れもなく京谷だ。もちろん、自分で自分の首を絞めている彼女たちの性格も問題があるのだけど、彼女たちを翻弄し苦しめているのは京谷の方向違いの優しさなのだ。朱里がオーバードーズした時も、晶が愛されてないと言った時も、自分のせいでこうなるのが嫌だという保身が一番最初に来る。他人に優しさを向けているようで、全て自分に向けた優しさなのだ。自分が可愛くて、結局流されるままに甘えられるところに逃げ込んでしまう。自分じゃ晶を幸せにできないから代わりに幸せにして欲しいみたいなことを恒星に言っちゃうし、最後で晶が恒星にキスしてるのを見てしまうと、踵を返してその場を去ってしまう。弱い、弱すぎる。千春さん、貴方の息子は優しいですが何も学んでいません。福井の小浜の海で、いつか千春さんを迎えに来た京谷の父の強さを、どうか京谷にも分け与えてください。

 

余談なんですけど、ラストの晶と恒星のキスを見た呉羽の目が睨んでるような怖い顔に見えたのは私だけ?次回予告に「呉羽と橘カイジとの結婚が実は偽装」とか聞こえた気がして、実は呉羽はバイセクシャルで晶を狙ってたらまためちゃくちゃだな・・・なんてくだらない妄想をしてしまった。とにかく晶の笑顔が見たい。見せて、野木さん!